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国税庁が非上場株式の評価方法見直しを検討しています
2026.05.19
国税庁は本年4月20日に第1回の取引相場のない株式(非上場株式)の評価に関する有識者会議を開催し、会議資料を公表しました。以下の記載はその「会議資料」及び「議事要旨」から筆者なりに読み取った内容を皆様に共有するものです。
検討の背景
会計検査院が相続税、贈与税の申告1600件を検査し、報告を出しました。
報告の主な趣旨は、類似業種比準価額が純資産価額に比して低く(中央値ベースで約1/4)、会社規模が大きくなるほど純資産価額との乖離が大きくなるため納税者間で相対的な不公平が生じているということです。
それを踏まえた国税庁による別途調査でも同様の状況が確認されるとともに、その評価額乖離を誘因とした純資産価額の適用を回避しようとするスキームが存在するという見解をもって、有識者会議を開催するに至ったようです。
検討すべき問題点及び各専門分野からの意見について
国税庁としては、租税回避スキームとみなせるような案件については司法の判断を仰ぐような事態はよしとせず、評価通達の見直しによって解消すべきものだと考えており、これは納得できる考え方ではないでしょうか。
一方で評価方法については、各専門家からは、類似業種比準価額が純資産価額より低いことは近年のM&A動向等も踏まえると違和感がある、という意見もあると同時に、純資産価額は企業の清算を前提した評価方法であって継続企業の評価にはふさわしくない、むしろ純資産価額方式による評価額が過大であるという方向性が異なっているような意見が出ています。
見直しにあたっての方向性について
現時点で方向性として打ち出されているのは、
〇相続税法の「時価主義」をベースとしつつ、評価額を操作できるようなスキームには対処できるようにし、現在の情勢に合わせた見直しを進めたい。
〇第三者へのいわゆるM&Aも含め、円滑な事業承継も重要なので、その観点も踏まえて検討すべき。
〇客観的な「時価」としての評価と税負担のあり方は分けて議論をするのが良いのではないか。
といった内容であり、それを踏まえて方向性を定めていくことになると思われます。
以上、まだ第1回の有識者会議ということで問題意識は読み取れるものの、具体的な方向性はまとまっていない印象です。なお第2回の有識者会議も5月に開催され会議資料は公表されていますが、議事の内容は不明です。
既に不動産についてはより時価(=取引価格)の考え方を取り入れた税制改正、通達改正を行うことで、租税回避スキームに対応する動きが始まっており、非上場株式についても結果的に評価が高くなるかどうかは置いておいて、客観的な時価をできる限り取り入れる方向で進むであろうことを念頭に置き、国税庁の検討状況を注視していきたいと思います。