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|トピックス|2026年1月施行「下請法」は「中小受託取引適正化法(取適法)」へ

2026年1月施行「下請法」は「中小受託取引適正化法(取適法)」へ

2025.11.21

令和7年5月23日に公布された「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」により、下請代金支払遅延等防止法が改正されます。改正の主なポイントは以下の通りです。

◆法律の題名・用語の変更
今回の改正で、発注者と受注者が対等ではない印象を与える「下請」という用語が見直されます。法律名も「中小受託取引適正化法(取適法)」などに変更となり、実態に合わせた名称になります。

1.請代金支払遅延等防止法(下請法)⇒ 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法)
2.親事業者 ⇒ 委託事業者
3.下請事業者 ⇒ 中小受託事業者
4.下請代金 ⇒ 製造委託等代金

◆適用対象の拡大

1.従業員基準の追加
従来の資本金等の基準に加え、従業員数による基準を新たに追加します。
・製造委託・修理委託・特定運送委託等:従業員300人以下(役員等を除く)
・情報成果物作成委託・役務提供委託:従業員100人以下(役員等を除く)

2.対象取引に「特定運送委託」を追加
取適法の適用対象となる取引は、その委託される内容によって条件がさだめられています。「製造委託」、「修理委託」、「情報成果物作成委託」、「役務提供委託」に「特定運送委託」が追加されました。

◆禁止行為の追加

1.協議に応じない一方的な代金決定の禁止
中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じないことや、協議において必要な説明または情報の提供をしないことなどにより、一方的に製造委託等代金の額を決定する行為を禁止します。

2.手形払等の禁止
対象となる取引において、代金の支払手段として手形払を禁止します。また、電子記録債権や一括決済方式(ファクタリング等)についても、支払期日までに代金相当額(手数料等を含む満額)を得ることが困難な支払手段も併せて禁止します。

◆面的執行の強化

1.事業所管省庁にも指導・助言権限を与えます(面的執行)。
2.中小受託事業者が違反事実を情報提供しやすい環境を確保するために、執行機関に申し出たことを理由に不利益な取り扱いを禁止(報復措置の禁止)しており、この情報提供先として、現行の公正取引委員会及び中小企業庁に加え、事業所管省庁が追加されました。

◆その他

1.製造委託の対象物品の拡大
製造委託の対象物品として、従来の金型に加え、専ら物品の製造に用いる木型、治具などを追加しました。

2.電磁的方法による交付の容認
発注書面等の交付義務について、中小受託事業者の承諾の有無にかかわらず、電子メール等の電磁的方法による提供を認めます。

3.遅延利息の対象拡大
代金を減じた場合(減額)も遅延利息の対象に追加し、減額分について受領日から60日を経過した日から実際に支払う日までの期間の遅延利息(年率14.6%)の支払い義務が新たに追加されます。

これらの改正の施行期日は2026年1月1日(令和8年1月1日)です。

参考:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」