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|トピックス|高額療養費制度に関する基本的な仕組みと医療保険を活用したリスクヘッジ

高額療養費制度に関する基本的な仕組みと医療保険を活用したリスクヘッジ

2025.05.20

医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」があります。

 

◆高額療養費自己負担限度額〈69歳以下の方〉

所得区分 本来の負担の上限額 多数回該当の場合
約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000円)×1% 140,100円
年収約770万~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1% 93,000円
年収約370万~約770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
~年収約370万円 57,600円 44,400円
住民税非課税者 35,400円 24,600円

 

おひとり1回分の窓口負担では上限額を超えない場合でも、複数の受診や、同じ世帯にいる他の方(同じ医療保険に加入している方に限ります。)の受診について、窓口で それぞれお支払いいただいた自己負担額を1か月単位で合算することができます。 その合算額が一定額を超えたときは、超えた分を高額療養費として支給します。

※ ただし、69歳以下の方の受診については、2万1千円以上の自己負担のみ合算されます。70歳以上の方が混在する場合は計算方法が異なります。

なお、過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がります。

 

◆高額療養費の支給申請方法

「健康保険高額療養費支給申請書」を記入し、医療機関の領収書等を添付して、保険者に請求します。払い戻しは、医療機関等から提出される診療報酬明細書(レセプト)の審査を経て行いますので、診療月から3ヵ月以上かかります。払い戻しまで時間を要するため、医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、①マイナ保険証、②「限度額適用認定証」を利用する方法が便利です。

 

◆民間の医療保険を活用したリスクヘッジ

◎入院や手術費用としての保証

病気やケガでの入院では、長期化・高額化するケースが少なくありません。特にがん治療は長期化、抗がん剤等薬価の開発コストや製造コストの上昇に伴い高額化傾向があります。入院日数に応じた入院給付金や手術を受けたときに支払われる手術給付金、がん保険ではがんと診断されたときに支払われる診断一時金が支払晴れ、公的医療保険の手が届かない部分に民間の医療保険が役に立ちます

◎高度な先進医療への費用対策として

先進医療を受ける場合、診察・検査・薬代・入院費などは公的医療保険でカバーされます。ただし、先進医療の技術料は公的医療保険の保険対象外で全額自己負担が必要です。 高額な先進医療の費用をカバーするためには、民間医療保険に「先進医療特約」を付けて備える方法もあります。

◎長期の入院や療養生活の生活費をサポート

高額療養費の対象とならない差額ベッド代、入院時の食事代、日用品の購入費、入院通院の交通費などがかかります。

  • 自営業の方の場合:自営業の方が加入している国民健康保険には、会社員や公務員が受けられる傷病手当金のような制度は基本的にありません。 傷病手当金とは、病気やケガで働けなくなったときに一定期間、給与の一部を補償してもらえる仕組みです。 自営業の方は病気やケガで仕事ができなくなると、収入減少の可能性があります。
  • 貯蓄で医療費をカバーできない場合:貯蓄額に不安がある、また、収入不安定な場合は、治療や入院で働けなくなると収入が途絶える可能性があります。 たとえば一人暮らしで入院した際、身の回りの世話を頼めない場合や、家事や育児を主に担っている方が病気になった場合は、備えが必要です。

まさかの時に望む治療を安心して受けるためには、こうした出費に備えておく必要があり、そのために民間の医療保険が役に立ちます。

 

◆2025年8月の高額療養費の自己負担上限額の引き上げは見送り

高齢化進んだことや物価・賃金が上昇する中で、制度を利用する人が増え、その支給総額も年々高くなっている中、政府では今後見直しが検討されているようです。